振り返ってみると、アナモレリンの開発にはそれなりに時間がかかっている。
2015年に一度、アナモレリンに関する記載を残していた。
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http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e828753.html
これを読んだだけでも、開発に難航していたことがよく分かる。
結局のところ、アナモレリンを使用すると体重減少と食欲不振、血中プレアルブミン濃度は改善するものの、運動機能の改善には至らないとのこと。
比較的運動機能の保たれた、悪液質を伴う進行非小細胞肺がん患者がよい適応ということなのだろうか。
繰り返しになるが、使い始めるタイミングが意外と難しい薬である。
Anamorelin (ONO-7643) for the treatment of patients with non-small cell lung cancer and cachexia: Results from a randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter study of Japanese patients (ONO-7643-04)
Nobuyuki Katakami et al., Cancer. 2018 Feb 1;124(3):606-616.
doi: 10.1002/cncr.31128. Epub 2017 Dec 4.
背景:
体重(主として除脂肪体重(lean body mass, LBM))の減少や食欲不振といったがん悪液質の症状は、進行がんの患者ではよく見られるものである。今回の試験では、がん悪液質を伴う日本人がん患者において、新規の選択的グレリン受容体作動薬であるアナモレリン(ONO-7643)の有効性と安全性を検証することを目的とした。
方法:
今回の二重盲検臨床試験(ONO-7643-04)では、がん悪液質を伴う切除不能III / IV期非小細胞肺がん患者174人を対象とした。患者はアナモレリン群(アナモレリンを連日100mg内服)とプラセボ群に割り付けられ、12週間のプロトコール治療を受けた。主要評価項目は12週間経過時点での、ベースラインの除脂肪体重からの変化量とした。除脂肪体重は、二重エネルギーX線吸収測定法を用いて測定した。
→※二重エネルギーX線吸収測定法:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/53/4/53_119/_pdf/-char/ja
副次評価項目は、食欲・体重・QoL・握力・6分間歩行負荷試験結果の変化量とした。
結果:
ベースラインから12週間後の除脂肪体重の最小二乗平均(±標準誤差)は、アナモレリン群で1.38±0.18、プラセボ群で-0.17±0.17で、アナモレリン群で有意に増加していた(p