免疫関連有害事象の起こり方と生存期間延長効果

tak

2020年11月25日 00:22

 免疫関連有害事象が発生した方が、免疫チェックポイント阻害薬の生存期間延長効果は強くなる、というお話。
 背景は不明だが、この報告にある内容は、多かれ少なかれ誰もが実感として感じている内容ではないだろうか。
 免疫関連有害事象のマネジメントは大変だけれど、頑張れば報われる。


Multisystem Immune-Related Adverse Events and Disease Outcomes Among Patients With NSCLC Treated With Immunotherapy
The ASCO Post
By Matthew Stenger
Posted: 11/4/2020 11:50:00 AM
Ref.:
Multisystem Immune-Related Adverse Events Associated With Immune Checkpoint Inhibitors for Treatment of Non–Small Cell Lung Cancer
Bairavi Shankar et al., JAMA Oncol. Published online October 29, 2020. doi:10.1001/jamaoncol.2020.5012

JAMA Oncology誌に公表された後方視的研究においてShankarらは、III期もしくはIV期の非小細胞肺がん患者に対して抗PD-1 / 抗PD-L1免疫チェックポイント阻害薬を使用したのちに多系統免疫関連有害事象を経験した患者では、無増悪生存期間および全生存期間が改善していたと報告した。
 本試験には、全世界の5施設から623人の患者データが集積された。対象者は、2007年1月から2019年1月の間に、抗PD-1 / 抗PD-L1免疫チェックポイント阻害薬を単独で、あるいは他の抗腫瘍薬と併用で使用された者とした。
 多系統免疫関連有害事象は、個別の免疫関連有害事象の組み合わせ、あるいは個別の臓器合併症の組み合わせと特徴づけられた。
 623人(男性60%、白人77%、年齢中央値66歳)の患者中、527人は抗PD-1 / 抗PD-L1抗体単剤療法を、96人は抗PD-1 / 抗PD-L1抗体+他の抗腫瘍薬の併用療法を受けていた。全体で、148人(24%)は1種類の免疫関連有害事象を合併し、58人(9.3%)は多系統免疫関連有害事象を合併していた。全ての多系統免疫関連有害事象は逐次的に発生していた。
 抗PD-1 / 抗PD-L1抗体単剤療法を受けた患者では、135人が1種類の免疫関連有害事象を合併し、51人が多系統免疫関連有害事象を合併していた。多系統免疫関連有害事象を合併した患者において多かった有害事象の組み合わせは、肺臓炎+甲状腺炎(7人、14%)、肝炎+甲状腺炎(5人、10%)、皮膚炎+肺臓炎(5人、10%)、皮膚炎+甲状腺炎(4人、8%)だった。
 抗PD-1 / 抗PD-L1抗体+他の抗腫瘍薬の併用療法を受けた患者では、13人が1種類の免疫関連有害事象を合併し、7人が多系統免疫関連有害事象を合併していた。こうした患者の多系統免疫関連有害事象には、これといった有害事象の組み合わせの傾向は見られなかった。
 多系統免疫関連有害事象と独立した相関関係を持っていた因子は、ECOG-PS 0 /1 vs 2(補正オッズ比0.27、p=0.04)、免疫チェックポイント阻害薬使用継続期間(補正オッズ比 1.02、p

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