間質性肺炎合併患者に対する定位放射線照射

tak

2020年07月06日 21:57

 多分大分県は、定位放射線照射を行う環境に恵まれている。
 定型的な定位放射線照射が可能な施設が複数ある上、サイバーナイフを利用した高精度の定位照射も可能である。
 https://keiwakai.oita.jp/oka-hp/cyber/

 定位照射を受けた肺がん患者さん、追跡調査をしている中でも随分とたくさん拝見するようになった。
 間質性肺炎を合併していても定位照射は可能だろうか、という相談を受けたので、1件の論文報告と、1件の学会発表を紹介する。
 間質性肺炎を合併していない患者さんに比べると、当然放射線肺臓炎のリスクが増す。
 とは言え、他に治療手段がなくて、危険性を理解したうえで治療を受けたい、という方は、一度は放射線治療医に相談する価値があるだろう。




Stereotactic Body Radiotherapy for Lung Cancer Patients With Idiopathic Interstitial Pneumonias

Yuichiro Tsurugai,et al.
Radiother Oncol 2017 Nov;125(2):310-316.
doi:10.1016/j.radonc.2017.08.026.

目的:
 肺がん患者のうち、特発性間質性肺炎を合併している患者としていない患者に対して定位放射線照射を行った際の毒性と生命予後について比較検討した。

方法:
 2005年から2016年にかけて、定位放射線照射を行った肺がん患者のうち、臨床病期T1N0M0からT4N0M0までの患者、もしくは術後の局所孤発性再発を来した患者で、根治目的で40-60Gyを5分割で照射した者を評価対象とした。全ての対象患者に関する放射線肺臓炎の発生頻度と、T1a-T2aの患者を対象として局所再発割合や全生存期間解析を行った。

結果:
 総計508人の患者が評価対象となり、42人の特発性間質性肺炎患者が含まれていた。追跡期間中央値は32.3ヶ月(範囲は6.0-120.9ヶ月)だった。特発性間質性肺炎患者においては、有意にGrade 3以上の放射線肺臓炎を来す患者が多かった(12% vs 3%, p=0.009)。2年局所再発割合は両群ともに低かった(3.4% vs 5.6%, p=0.38)。2年生存割合は特発性間質性肺炎患者で有意に低かった(42.2% vs 80.9%, p

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